退屈な話


 エンドロールの流れるテレビをぼんやり眺め、こたつのテーブルに顎を乗せる。ガムを包んでごみ箱に放ると、ごみ箱の角にぶつかって洗濯かごのあたりに転がった。
「ちゃんと拾っといてよ」
 よく見てるよな、と思いながらリモコンに手を伸ばす。チャンネルを回したが面白そうなものは無かった。電源を切って仰向けになる。蛍光灯の白々とした明かりを眺め、俺は大きくため息をつく。
「散歩行ってきたら」
 俺は返事をせず、ごろんと寝返りをうった。台所から出てきた猫と目が合う。このあいだ拾ったらしかった。舌を鳴らしたが、猫はふいとそっぽを向いてテレビ台に飛び乗った。
 銭湯にでも行くか、と思い、俺は上半身を起こしてこたつから出る。夕方には帰ってくる、と言うと、うん、と台所の方から返事が聞こえた。