今日のご飯は


 むに、と指先に伝わる感触。付いてた時から柔らかいから柔らかいだろうとは思っていたが、切り取ったそれは皺くちゃで汚く、面白くも興味深くもなかった。
「切り取ったベロ触んないの」
 あなたの声に振り返り、ベロじゃない、金玉、と返事をする。あなたは少し眉を持ち上げ、どっちでもいい、という表情をした。私は指でつまんでいた金玉を放り、あなたのもとに駆け寄る。
「あんたが金玉潰してベロ取るから聞けなくなった」
 また探さなきゃ、と物憂く目を伏せるあなたを見つめる。髪を毟る時や砂糖を溶かした熱湯を飲ませる時のあなたの横顔を思い出す。自分だって悪趣味な癖に、私の趣味に口出しをしないでほしい。
「次はちゃんとベロ残しますー」
「はいはい、よろしくお願いね」
 あなたのちょっと前に出て、今日ハンバーグがいい、と振り返る。ん、と返事をしてあなたは微笑む。
「ハンバーグ作るんなら今日はこれで終わりにしよっか」
「お、分かってますね」
 こういうところが楽なんだよなあ、と思う。明日は紙やすりですり減らそうかな。ちゃんとベロは残そう。私は放った金玉を爪先で蹴り飛ばした。