緑と灰


 同僚が死んだ。向こうの狙撃手はコンピューターらしい、とゆうべ耳打ちしてきた奴だ。そんなことってあるものか、と俺は思うが、向こうに凄腕の狙撃手が居て何人もやられているのは事実だった。
 ひとりで逃げるか、ふたりで暴くか、どちらの選択も魅力的に思えた。少なくともここで死んでいくのはごめんだった。
「コンピューターって何」
「疲れない機械ってことだよ」
 後ろから付いて来る足音を確認しながら、息を殺して坂を上る。頬にまとわりつくぬるい風が不快だった。
「コンピューターだったらどうするの」
「どうしたい」
「逃げたい」
 はは、と俺は笑い、そうするか、と続けた。安心したように息をつく気配を感じたが、俺は後ろを振り返ることができなかった。足が付いて殺される危険のために、ふたりで逃げるということは選択肢に無かった。
 疲れを感じ、俺は立ち止まる。こいつが今、俺を殺してくれないだろうか。それを頼んだら、承諾してくれるだろうか。殺されるということがこんなに魅力的な選択肢だと、俺は知らなかった。