牧場見学


 ひよこって案外大きいんだ。もう少し小さいんだと思っていた。手のひらの中の持ち重りのする鳥を眺め、私は不思議な感慨に耽った。これが大きくなるとニワトリになるなんて想像できなかった。
「連れて帰る? ニワトリになったら鳴くけど」
「結構です、ありがとうございます」
 両手に乗せていたひよこをそっと地面に戻す。手の上では所在なさげに見えたひよこが他の黄色に紛れて分からなくなる。わずかに残った温かさが心地よかった。
「何か生き物を飼ってるの?」
「昔ネコを飼ってました」
 地面のひよこを眺めながら私は返事をする。そっか、と彼女は笑った。生き物はいいよね、と。はい、と頷き、たくさんの命を眺めた。