普通の話


 親も安心するし、周りも結婚してるしそのうち結婚しようかな。どうしても結婚したいってわけじゃないけど、いずれそうなるとは思ってる。
 肉丼と味噌汁をかき込む彼氏を見ながら、私はぼんやりと思う。多分この人も同じような考えだと思う。同じようなことをして、同じような会社に勤めて、喧嘩をしたこともそんなにない。親のことは好きでも嫌いでもないし、特に挫折をしたり成功なんかをしたことも無い。
「明日早番だから自分で起きてね」
 ん、と目を上げて返事をする。この人はよく食べるしよく寝る。その部分は好きだ。仕事で何をしてるかはよく知らないが、隠し事の気配も無い。結婚して、子供はいらないので二人で働いて、肉丼と味噌汁を作って、なんとなく老後を迎えるんだろうな、と思う。
「明日はカレーがいい」
 はいはい、と私は返事をする。明日は早番だから煮込む時間がある。お椀を台所に持って行く彼氏を見て、私は小さく微笑んだ。