なんとなくの話
雷が落ちた。時計を見上げ、またぼんやりマグカップに目線を戻す。一回くらい締め出した方が分かるかもしれない、と思うが、私にそんなことが出来ないことも分かっていた。
「だからさ、別れたら」
毛布を膝に引っ張り上げ、夏帆が言う。帰ってくるまで居てくれる友達の存在を今日ほどありがたいと思ったことはない。
うーん、と返事をしてマグカップに口をつける。濃く出た紅茶の苦い味がした。他の人でもいいのかもしれないけど他の人を探すのが面倒くさい、彼を心配している時の自分が結構好き、そんなことを言ったら何それと笑って帰るだろうなと思った。
「あんたがいいならいいけどね」
夏帆は頬杖をつき、チョコレートを口に運ぶ。これでやめにする、と言ってからもう3個目だ。
うすく微笑み、雷の音を探そうとする。彼が夜更け前に帰ってくることも、夏帆が入れ替わりに帰っていくことも、響く雨の音も夜の匂いもすべて愛おしいと思った。