嘘つきと暮らしている
スカートのポケットに切符が入っていた。やや硬いような紙をぼんやり眺め、そっと元に戻す。スカートもクローゼットに戻し、私は小さく息をついた。
玄関の開く音が聞こえ、リビングに戻る。ただいまあ、と声を出す真咲の右手に紙袋があるのを見る。ドーナツかプリン、と私は微笑み、おかえり、と返事をした。
「コーヒーと紅茶」
「紅茶!」
リビングの椅子に座る真咲を眺める。どこに行っていたのか知るのはとうの昔に諦めていた。もしも真咲が帰ってこなくなっても、きっと驚かないだろう。
真咲が紙袋からドーナツを取り出し、私はすこし笑った。なに、と不思議そうに私を見る真咲を眺める。漂い始めた紅茶の匂いに、私は静かに目を閉じた。