窓を開けて下を見下ろす。あなたの赤い帽子が目に入った。夜の水辺の匂いがして、私は息を吸い込んだ。
「寒くないの」
 聞こえているのかいないのか、あなたは微動だにしない。水面に月が映り込んで、川そのものがぼんやり発光しているように見えた。
 窓を閉めて鍵を掛ける。夜が明ける頃には戻っているだろう。もっと遠くまで出ているかもしれないが、放っておいて死ぬような人ではない。部屋に残った冷たい空気を感じ、私は押し入れから布団を取り出した。