ラボ


 紺のシャツを手に取る。タグに、XXL、と書いてある。こんな服あったっけ、と思いながら隣で洗った洗濯物を取り出しているやつを小突いた。
「誰の服」
「あ、博士が作ったあれ」
「服着るんだ」
「人型にしたらしい」
 へぇ、と返事をしてXXLのシャツをハンガーに掛ける。窓の外には雲が垂れ込めていた。しばらくしたら干そう、と思い、天井を伝うパイプにハンガーを掛ける。
「何で人型にしたの」
「博士に聞けよ」
 洗濯係は面倒くさそうに手を振った。台所のやつは、かっこいいからじゃないの、って言ってたけど、と続ける。
「あんま考えたくないな、迂闊に聞くと何が返ってくるか分からないし」
「そうだね」
 午後は酸性雨、と机上のラジオから声が響く。窓の外の雲を眺め、今度給料出たら遊ばない、と洗濯係に声を掛ける。
「給料出たら辞めるよ」
「ふーん」
 パイプに掛けたハンガーの前に送風機を移動させる。そろそろ昼食だ、と思い、私は手の埃をはたいた。