15歳差くらい


 彼女が居着いて四ヶ月になる。私は玄関に立ち、揃えてある青いハイヒールを見つめる。気に入りなのか他に靴を持っていないのか、彼女はいつもこれを履いている。
「今日居たんだ」
「うん」
 居間で、コントローラーを握りしめてテレビを見つめている。画面に映った飛行機が壊れると、あー、と声を出してソファの背にもたれ掛かる。私を振り返り、ご飯作ったよ、とはにかんだ。
「ありがとう」
 私は台所へ向かう。かまぼこが卵で綴じられていた。それと味噌汁。私の妹より若いと思うのに、彼女は料理ができる。
「食べる?」
「うん」
 返事をして自室に向かう。上着をハンガーに掛けようとすると、彼女が歩いてきて私の匂いを嗅いだ。
「外の匂いがする」
 真面目な顔で頷き、台所に向かう彼女の背を眺める。むき出しの白いかかとは子供のように見えた。
 年齢をたずねたことはある。二十二、と答えたので私はそうかと頷いた。けれど今はもう少し若いんじゃないかと思う。妹に一度電話した時、どこで知り合ったの、と単純な疑問を問いかける口調で訊ねられた。酒を飲んで正体もなく酔っ払って目を覚ましたら横にいた、とは言えなかった。
 食べよ、とダイニングの椅子に座った彼女を見る。小さく息をついて私も椅子に座る。未成年だったらどうしようと思ったが、すぐに面倒になって考えるのをやめる。かまぼこを口に運ぶと、温かい出汁の味がした。