お外に出たい話


 目を覚ますと日が高く昇っていた。修也はカーテンを開け、窓の外をぼんやり眺める。泣き腫らしたまぶたが重かった。
 顔を洗ってリビングに下りる。母親が既に掃除をしていた。大きな窓から差し込む光を見て修也は暗澹とする。
「ピアノ拭いたから」
 テーブルを拭きながら母親は呟いた。うん、と返事をしてのろのろとサンルームに向かう。この人は俺を操作する術を知り尽くしている、と修也は思う。
 三曲弾いてサンルームの窓から外を見る。入口に母親が立っているのはわかっていた。踵を返す足音を聞き、修也はようやく息を吐く。
 しばらくして修也もサンルームから出る。今日の朝食はなんだろう。このままどこかに行ってしまおうか。もしかしてそのうち、両親が離婚なんかしないだろうか。サンルームの扉を静かに閉める。渡り廊下に光は射さず、修也は安心する。小さく息を吸い、暗がりを静かに歩き始めた。