すべてを忘れて自分の子孫と家族になるエンド


 なんだか長く眠っていた気がする。起き上がって大きく伸びをする。息を吸うと黴のような匂いがした。
 立ち上がり、自分が何をしていたのか思い出そうとする。頭にもやが掛かったようになってよく思い出せなかった。
「……?」
 ぼんやりする頭で辺りを見渡す。灰色の室内だった。隅にあった階段を上り、外に出る。一面の緑と青空が広がっていた。
 きれいだ、と思い、声に出そうとした。肺からはおかしな息が漏れただけだった。ひどく喉が乾燥しているのだと分かった。
 飲むものを探そうと思い周りを眺める。自分が寝ていた場所は地下室のようだった。足元の草を踏みしだき、水辺を探し始める。少し歩くと息が切れてしまい、その場にしゃがみ込んだ。
「あの」
 声のした方を見上げる。金色の髪をした少女が立っていた。この人を見たことがあるような気がしたが、何か言おうとしても喉が張りついて声が出なかった。
「お水、飲みますか」
 少女は鞄の中から水筒を取り出す。震える手でそれを受け取り、一息に飲み干した。少女にわずかに微笑みかけてお礼を言う。少女は安心したように目元を緩めた。
「どこかに人がいるのか」
「……どこから来た人なんですか?」
 質問を返されて押し黙る。あの地下室にいた、と言うと、あら、と少女は口に手を当てる。
「みんながいる場所に行きましょう」
 微笑んだ少女を見つめる。やはり誰かに似ている、と思ったが、あまりよく思い出せなかった。