永遠の愛


 五月の匂いがする。雨に濡れた緑が葉をふるわせる生命の匂い。あなたはわからないと言う。頬を撫でる風は去年までよりずっと心地いい。あなたはわからないと言う。

 気分はどう、と優しくささやく。公園に行きたい、と私はこたえる。遠くに聞こえる子供のはしゃぎ声に、微笑ましくなり口元に笑みをうかべる。光を失ってから、私はなんにも腹が立たない。
 草の上に仰向けになり、土の匂いを吸い込む。あなたの気配を右の方に感じる。私はごろんと転がって、パーカーに朝露を染み込ませる。

 わからない、とあなたは笑う。美しい世界を感じるんだね、生きていてくれてありがとう。私は思う。あなたには死んでもわかるまい。私は醜いから、あなたにそれを教えてやらない。ざまをみろ、死んで楽になれるなんて思うなと、五月のたくさんの命の上で思う。