愛情が欲しいときみが言ったから今日という日はサラダ記念日

煙草が切れたとか単に苛々していたとかの理由で抱いても嬉しそうにしているので、そういう男なのだと思っていた。つまり本質的に、好きな男の言うことならよく考えずに従ってしまう人間だということ。そういう連中を相手にするのは慣れていたし、自分より明らかに強そうな男が自分の言うことを聞くのは猛獣を手懐けたようで気分が良かった。

「り~お、今日はどうされたいか言ってみな」
隣に座っている彼の、臙脂色のぴったりしたシャツに手をかけながら囁く。選ばせるのは初めてだったが、今日は下でも構わなかった。機嫌が良いのかも知れないが、ただやりたい気分なだけだという気もした。
理鶯はちょっと驚いてから目を伏せる。言いにくそうに口元をわずかに動かす。直接叩かれたい時の表情だと解り、ん、後ろ向け、と促す。彼は目を上げ、朝まで隣で寝たい、と呟いた。
「……は?」
思わず彼の顔を見つめると、それ以上何も言わずに頭まで掛布を被る。そのまま動かないので無理やり掛布を剥ぐと、理鶯はゆっくり目を開けてこちらを見た。澄んだ青が、彼の欲しいものを表していた。
少しの間のあと、深く息をつく。不可能を求められた苛立ちに、このまま強引にシャツを剥ぐことを考えた。それでもそれと同じ分量で、この男に出来て自分に出来ないことなどあってはならないと思った。無言で彼の隣に身体をおさめる。理鶯の顔を見ることはできなかったが、彼が嬉しそうに微笑んでいる気配があった。

 


 

早く愛情起因でセックスできるようになってくれ