これが愛だと言わせてみせる

「じゃあさ、父さんって呼んでもいいの」
隊長が目を上げる。返事をしないので、俺が発した言葉はぽんと宙に投げ出された。俺たちはこのあいだ家族になった。たまたま生まれ落ちた場所としてではなく、自分たちが望んで家族になったのだ。
「いつまでも隊長なんて、他人みたいで呼べないよ」
隊長の目が眩しいものを見るようにすがめられた。俺はちょっと緊張して目を伏せる。隊長がふっと息をもらす気配を感じ、おそるおそる目を上げた。
「……ふ、好きにしろ」
隊長はくるりと後ろを向いた。耳がうす赤く染まっているのが見えた。父さん、と、実際に呼ぶことができるのはまだしばらく先のことになりそうだった。

 


 

養子縁組した